コロナ後の世界 (2)  ~新大久保マスク暴落に思うこと~  

みなさんこんにちは。

東京は依然、緊急事態宣言が続いていますが、先週どうしても外出しなければいけない用事があり、折角(?)の機会なので、1駅前の新大久保で下車して少し歩いてみました。(不要不急ですみません・・・)

街の雰囲気はだいぶ緩んできた感じで、平日の昼間でもそれなりの人通りはありましたが、さすがに学校が休みの女子中高生が押し寄せている風もなく、少し前までは行列の凄かったタピオカ屋やトッポギ屋も閑散としています。

そして、噂通り、韓流ショップに山積みされたマスクの価格が大暴落していました。

中国の輸出規制が解かれてどっと入ってきた、例の怪しげなマスクですが、少し前に4,000円を切って話題になったものが、先週は遂に2,000円を切る価格で、いたるところで山積みされています。ひどいところでは、マスクを山積みにしているタピオカ屋もあります

4,000円を切ると利益が出ない、といわれていましたので、2,000円なら完全に赤字です。それでも売れないと

「ただのゴミ」

でしかありませんから、みな我先に売ろうとしているのでしょうが、私が見る限り、このマスクの山に手を出している客は一人もいませんでした。

店ごとに何か付加価値をつけたり差別化したりしているわけではなく、単に需給ギャップを狙った

「投機」

ですので、需給が緩めば価格を下げるしかない。いずれ1,000円を切るのは時間の問題と思います。

これから進むべき道

前回、このブログでは

「既存産業は壊滅的な打撃を受けて創造的破壊が起こる」

と書きましたが、だからといって、安易な業種転換や新規事業に手を出して、成功するとは考え難い。世の中にはすでに「これからはこの業種が儲かる」的な予想が溢れていますが、皆がその業種に殺到すれば、

「新大久保のマスク状態」

になるのは必定です。

自粛を余儀なくされている飲食店の皆さんの努力には頭が下がりますが、残念ながら、テイクアウトやデリバリーに活路を見出そうとしても、皆がやり始めれば、厳しい状況から抜け出すのは難しいのではないか。

私は飲食店の経営には詳しくないのですが、このGWに行きそびれた別府の日本料理店の対応は驚きでした。もともと、「昼も夜も、それぞれ1日2組まで」というお店だったのですが、コロナ以降は

「1日1組」

にして営業されているとのこと。結局、旅行そのものを諦めたので、キャンセルせざるを得なかったのですが、行けば「貸し切り」で料理を堪能できたはずです。1日2組でも、私が行けるレベルの価格設定でしたので、1日1組にして固定費を上乗せしても、「行きたい」と思うお客さんはいるはずです。

私が敬服する診断士仲間が送ってくれた情報によると、飲食店業界は、「安くてそこそこ美味しい」中間的な業態の競争が厳しく、今、コロナで最も厳しい状況に置かれているのはこうした中間層の店舗とのこと。

一方、この別府の店が提供しているのは

「安心して美味しい料理が食べられる」

という、他にはない付加価値です。ここは、料理の美味しさに加え、ゆったりとした古い日本家屋を改築した店舗、こだわりの器、新鮮な食材の調達ルートといったしっかりしたリソースを持ち、なおかつコロナ影響に対応した運営をされています。こういう業態のお店は、今後、必ず生き残るのだろうと思います。

地方創生が加速する?

もちろん、このような業態は、東京のように地価も人件費も高い大都市部では今すぐは難しい。 しかし、コロナ感染が少なくともあと1~2年は収束したり再発したりを繰り返す、と仮定すると、密集を避けて、地方に移住する動きが起こることは十分考えられます。 

いろいろ不便ではありますが、2ヶ月ぐらいはテレワークでなんとかなってしまった企業も多いですから、

いっそのこと、本社機能を地方の支店や工場に移してしまおう

と考えるようになってもおかしくありません。実際、緊急事態宣言のあと、本社機能を一時的に東京から地方の支店に移して対応している企業もあります。

このような地方への移転は、バブル崩壊後、リーマンショック後も起こっていますが、景気が回復するとまた首都圏に集中する、ということを繰り返してきました。しかし、今回は、

密を避ける

という大きな動機が加わります。

先に触れた、診断士仲間が送ってくれた情報によれば、飲食店需要が減ったため、こだわりの野菜作りをしていたような契約農家が大変な苦境に陥っている、と。一方、大根やキャベツ、白菜など家庭で使うような野菜は需要が増え、カミさんに言わせると「キャベツが1個300円なんてありえない」ぐらい、東京では値段があがっている。

そう考えると、

これからのビジネスチャンスは地方にある

ということが言えるのかもしれません。

少なくとも、新大久保のマスクのように、東京の一極集中の需要を当てにして、「安く買って高く売る」だけの商売には先行きはない、ということになるのではないでしょうか。

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