(本稿は、東京都中小企業診断士協会中央支部認定マスターコース『売れる!人気プロ研修講師コンサルタント養成講座』ブログへの投稿の再掲です)
診断士がおさえておくべき景気動向(5)~ざっくり過ぎる2020年の見通し~
あけましておめでとうございます。
売れプロ8期生の酒井浩 59歳、独立準備中の企業内診断士です。
「診断士がおさえておくべき景気動向」の第5回、今回は、前回の米国経済の見通しに続き、中国経済の見通しについて見ていく予定でしたが、新年を迎えたことでもありますので、予定を変更して
「2020年の経済見通し」
について、ざっくり見ていきたいと思います。
といっても、私自身は2020年の見通しを語れるようなエコノミストでは全然ありません。
ということで、買ってきました経済誌の年末特集!
週刊東洋経済 「2020大予測」、
週刊ダイヤモンド 「2020総予測」、
週刊エコノミストは「日本経済総予測2020」「世界経済総予測2020」の2冊、
日経ビジネス 「2020徹底予測」
の全5冊です。(結構な出費・・・)
それぞれ100ページを超えるような総力特集で、単純な予測だけでなく、読み応えのあるインタビューや対談が組まれていて、とても勉強になるのですが、ここでは大胆に、その見通しのポイントを1行でまとめてみたいと思います。(雑誌編集者のみなさんゴメンナサイ)
●東洋経済:
米中摩擦による海外経済の悪化、消費税増税の影響による消費の下振れ、五輪後のイベント効果剥落により景気は底這い
●ダイヤモンド:
五輪特需が期待できるが消費税増税が家計を圧迫、強弱入り乱れて2020年は曇天
●エコノミスト:
五輪までは景気拡大が続き、その後減速しても省力化投資、IT投資で持ちなおす
●日経ビジネス:
五輪後に失速、1%成長にも届かず(榊原英資)
世界経済は再び減速、次の経済危機はリーマン・ショックより深刻になる(ジム・ロジャーズ)
●(おまけ)日経元旦朝刊:
世界経済の減速懸念、五輪後の消費息切れが予測されるが、堅調な設備投資や政府の経済対策で景気の底割れは回避できる(経営者アンケート)
という感じです。
ざっくり言って、
「大きなクラッシュはない、なんとか持つのでは」
というやや楽観的なトーンと、
「五輪後、米大統領選後は失速のリスクが高い」
という悲観的なトーンに分かれますが、残念ながら「米中摩擦も解消に向かい、景気は成長軌道に戻る」といったような楽観論は、一つもありませんでした。
新年早々、景気の悪い話で申し訳ありません。ただ、こういう転換点だからこそ、右肩上がりの時にはスルーされがちな「日本経済の来し方行く末」というような大きな課題を、真剣に考える良い機会になるのではないかと思います。
これらの雑誌の中でも、
「少子高齢化」
「温暖化による気候変動」
「AI等の先端技術と日本の出遅れ」
といった課題に警鐘を鳴らす記事が、どの雑誌にも出てきます。
大それた抱負ですが、日本が直面するこうした課題に対して、
中小企業診断士として何ができるのか?
今年は、これをじっくり考える年にしたいと考えています。
(時間はあまりありませんが)
もう一つ、これらの特集を読んで気になったのは、景気の下振れリスクとして、米中貿易戦争は当然なのですが、それに加えて
「中国企業の債務膨張、不良債権の増加」
を挙げているエコノミストが結構いたことです。
ということで、次回は、今回先送りにした「中国経済の見通し」について、深掘りしたいと思います。
では、皆さん本年もよろしくお願いいたします。